Ally Teacher's School > 記事を読む > 先生集合!Ally Teacher’s Tool Kitで授業にチャレンジしてみよう!(後編)
2022年8月6日に第2回目を迎える現役教職員限定のイベントを開催いたしました。
今回は「先生集合!Ally Teacher’s Tool Kitで授業にチャレンジしてみよう」と題してReBitが提供する教材「中学校版 Ally Teacher’s Tool Kit」を活用した授業を体験を通して、教材の使い方や子どもたちに多様性についての授業をどう届けるかを一緒に考え、また、「安心安全な学校現場づくり」のための学びや経験のシェアをいたしました。
こちらの記事ではイベントでお話ししたことや様子をダイジェストでお届けします。(後編)
※前編はこちら

ーーーー「Ally Teacher’s Tool Kit」を使う他にも学校や保育園で取り組めること
「Ally Teacher’s Tool Kit」を使う以外に、学校や保育園で取り組めることをご紹介します。
ここで、ミニワークをしましょう。
「こいのぼりを作ってみよう!」というテーマで授業やお遊戯をするとします。
一般的には、黒がお父さん、赤がお母さん、青がこどもという組み合わせが多いですね。
そこで、「多様な性を大事にする」ことをテーマとしてこの授業を受け持つとするとあなたならどうしますか。
ここで皆様からのアイディアの一部をご紹介します。

・色紙でうろこを作って、それを貼ります。カラフルな鯉のぼりになります。
・色を混ぜていって、グラデーションにするのはどうでしょう。
・そもそも外国からきた子どもたちには、親も含めて、こいのぼり自体が理解されないこともあるので「こいのぼり」自体を考え直した方がいいかも。

こいのぼりは、多くの人になじみにあるため何も考えずに教材になりがちです。
また、典型的な家族を描く傾向がありますが、皆さんが出してくださったアイディアのように工夫次第でこいのぼりも多様にできます。



ーーーー授業以外でできる工夫、「むずかしいなあ」と思うこと
ここからは皆さんと意見や相談、アイディアのシェアをしていきます。
授業以外でできる工夫「むずかしいなあ」と思うことはどんなことがありますか?

◯先日、放送委員の生徒とジェンダーについてどんな違和感があるか聞いてみたら、委員の選出基準が男女各1名って本当に必要なしばりかということが話題になりました。
・今は男女1名のしばりを選出をなくしたという学校もあるようです。
・おそらく男女にしていたのは、リーダーを集めるとなると男性ばかりが集まる時代があったからその名残で仕組みとなっていた傾向がありますが、時代に合わせて変化していってもいいと思います。
・うちは生徒会から各委員男女1名のしばりをなくしています!

◯保健関係の男女別の校内検診を当事者の子どもも安心して受けられるアイディアはありますか。
・今まで、学校の定期健康診断や身体測定など男女別にやること当たり前にやっていたが、私は内科検診以外は男女混合の名前順で提案しました。
最初の年は職員から「えっ?‼」という反応があったが今ではそれが当たり前になっっています。
些細なことだけど、こんな点も、知らず知らずに男女を分けている社会があるということを気づいてもらえればとして取り組んでいます
・内科の健康診断は一人ずつパーティーションで囲ったブースで行っています。
・男女別の校内健診が嫌でで学校いけなくなった子どももいると聞きます。
「男子は廊下で裸で待機」ということが多々見受けられるが、男子も勿論プライベートな部分を見せたくないはず。
そこで、全員大人と同じ個室で着替えや受診をするようにしたら、男女別もいらないくなったという話を聞きました。

◯修学旅行の入浴(大浴場)問題について、部屋のシャワー可にした場合、掃除や他の面で確認がものすごく大変になりませんか。
宿泊はただでさえ教員の睡眠時間がほぼないので、どのようにしているか教えてほしいです!
個人的には希望があれば部屋のシャワー可にしてあげたいです。
・男女どちらでも、特に申し出なくても部屋のシャワーを利用していい!にしようと頑張りました。
・中学校の場合、近年はコロナ対策でシングルでの宿泊のため全員シャワーです。
・男女関係なく一緒にお風呂の使い方と一緒に部屋のシャワーの使い方を案内したところ、うまくいきました。
・先生の部屋3−4部屋をシャワー利用可として開放した事例もあるようです。

◯LGBTQや多様な性に関する取り組みをするにあたり管理職の説得が難しい。納得してもらうにはどうしたらいいでしょうか。
・いくつか方法があります。
まず、管理職の方がが「職責」としてやらないといけないということを文部科学省からの通知を用いて説得する。
次に今まさに困っている子どもがいるかもしれないとデータを交えて説得する。
(「Ally Teacher’s Tool Kit」にも資料があります)
そして、気持ちを動かしてもらう。
(「Ally Teacher’s Tool Kit」にある親子や友人との対話動画を見てもらったり、多様な性に関する教職員研修を学校で実施したり)
また、他の学校の事例を出すのもいいと思います。

◯LGBTQの授業をしたときに、「そのことに触れないでほしい」と思う生徒もいるのかなと不安になります。道徳で授業しようと考えていますが、ちゃんと伝えられれば生徒に嫌な思いはさせませんか?
・保健体育などの他の授業でも「男女が恋愛する場合もあるしそうじゃない場合もあるんだよ」「好きの形は人によって違うんだよ」など一言入れて話しています。
・「Ally Teacher’s Tool Kit」のレインボーのシールを自分の名札に貼っています。
・「LGBTQの人が困るから〜」等の理由を言わずにみんなで共通して使える仕組みを普段から伝えることも大事だと思います。
・セクシャルマイノリティーに関する図書は他の性や保健に関する図書を保健室に設置し、貸し出しをしています。

ーーーー授業の前の準備体操
是非、多様性を尊重するきっかけの問いとしてご活用ください。
答えに正解はないとはいえ、差別的な反応が返ってきた場合には、「私は**だと思うよ」「それは面白いことじゃないよ」など他の人権課題と同じように答えていただけると嬉しいです。

〜こんな場面で自分ならどう行動しますか?どんな声かけをしますか?〜
・(他の子に向かって)「女同士は結婚できないんだよ」
・「芸能人の**さんはLGBTQなんですか?」
・「**先生って男っぽいし女子にモテるからレズなんですか?」
・「急に授業するってうちのクラスにもいるってことですか?」
・(授業後のアンケートで)「自分もLGBTQかもしれないです。どうしたらわかるでしょうか。」

ーーーーまとめ
今はインターネットで情報をが拾うことができますが、全てが正しい情報とは限りません。
だからこそ、先生から正しい情報を伝えてもらうことはとても大切です。
多様な性はLGBTQや特定の人のためではなく、自分を含めた皆んなに関わること、多様性を尊重することの一つが多様な性を尊重すること、それをみんなで考えたいと先生は思ったと伝えて欲しいと考えています。


ライター:認定NPO法人ReBit

前編はこちら