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アライ先生インタビュー(7) 教師生活に10年目にして、 「多様な性」に授業で取り組むことに成功!(前編)

山口実夏子さん 墨田区立小学校教諭

(2021.09.07)
 

山口実夏子さん(写真左側) 
墨田区立小学校教諭

大学卒業後、2012年東京都の小学校教諭に採用され、品川区内の小学校に赴任。1年目から担任として教鞭をとる。同校で6年間勤務後、2018年に墨田区内の小学校に転任。現在は学年主任に加え、校内授業研究と学力向上を担当する研究主任を兼務。写真はプライドパレードの会場で代表理事の藥師と。

 

学生時代の出会いが、「多様な性」を意識するきっかけに

 

現在、墨田区の小学校で勤務する山口実夏子先生。ReBitの代表理事である藥師実芳とは学生時代のサークル仲間という間柄です。

「社会問題をテーマにしたサークルで藥師と知り合い、藥師から『LGBTをテーマにしたイベントをやりたい』と提案を受けたのがきっかけでした」

当時、山口先生はHIV・エイズをテーマに活動していたこともあり、LGBTを非常に身近な問題として意識するようになったそうです。

「活動を通じて『当事者』と呼んでいた人たちと知り合い、一緒にお酒を飲んだり、語り合ったりと、なんの違和感もなく友だちとして付き合うようになりました。そうした時間を過ごす中、教育者を目指す者として取り組むべき課題として、『多様な性』を意識するようになりました」

大学卒業後、教員として初めて赴任したのは品川区内の小学校。品川区は同和問題を中心に人権問題への取り組みが熱心な地域の一つでしたが、同校で勤務する6年の間に「多様な性」についての授業をすることはなかったそうです。一体どうしてなのでしょうか。

「新卒1年目で担任をまかされたことで、日々の業務で手一杯になり、新しく授業を開発する余裕がなかったというのが正直なところです。その間、ReBitが『多様な性』をテーマにした出張授業を積極的に行っていることを知り、先を越されたような気分になりました」

教師としての仕事にも慣れて余裕が生まれた3年目以降、校長先生に「多様な性」をテーマに人権問題を扱いたいと提案したこともあるものの、どのように実施すれば良いか具体的に提案することができず、残念ながら実を結ぶことはなかったそうです。

「品川区時代は自分の思いを具体化することの難しさを肌で感じた期間でした」

 

人権作文の指定校に選出されたことで、一歩前に

 


そんな山口先生でしたが、4年前に墨田区の小学校に転任。転任当初より人権問題のひとつとして「多様の性」を扱いたいと、校長先生に提案していましたが、実施には至りませんでした。品川区が同和問題だったように、墨田区は路上生活者に対して偏見や差別をなくすことに力を入れています。隅田川沿いに路上生活者が多く、過去に何度も社会問題になり、マスコミでも大きく報道されたことと無縁ではありません。しかしそんな状況の中で、山口先生が「多様な性」に取り組むチャンスが訪れます。

「2021年度の人権作文の指定校に当校が選定されたことで、いじめ、人種、病気や障害者などいろいろなテーマを勉強したほうがいいだろうという機運が生まれました。その一環で『多様な性』についても取り上げることになり、同僚の賛同も得て、学生時代から縁が深いReBitに出張授業をお願いしました」

現在、山口先生は学年主任に加え、授業力向上を図るための校内授業研究を担当する研究主任を兼務しており、提案する機会に恵まれたことも幸いしたようです。

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