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第3回「にじいろ子ども応援団」勉強会&交流会(前編)

小野アンリさん Proud Futures 共同代表

(2021.11.20)
 

小野アンリさん
Proud Futures 共同代表

元小学校教員。2008年から1000回以上の研修やワークショップを学校現場や子どもに関わる専門職等を対象に実施。LGBTQ+の子ども・若者や、家族、教職員への相談支援や、LGBTQ+インクルーシブな学校作りのコーディネート、性の多様性におおらかな価値観を児童・生徒に育むための授業を作る支援などを行う。

 

第3回「にじいろ子ども応援団」勉強会&交流会(前編)

 

2021年9月11日に第3回「にじいろ子ども応援団」勉強会&交流会を開催しました。
今回は、小野アンリさんにご登壇いただきました。

とても学びの多い会でしたので、イベントの様子を私の感想と合わせてご紹介します。

小野さんは元小学校教員で、現在はProud Futures(https://www.proudfutures.org/))の共同代表を務めておられます。
LGBTQ+の子どもや若者、そして周りの大人たちに向けたリソースづくりとその提供を通して、当事者の子どもたちにとってよりよい未来を作っていきたいという思いで幅広くそして現場に密着した活動をされています。

今回はLGBTQ+の子ども達について3つのテーマに分けてお話しいただきました。
それでは、早速、講演内容に触れていきましょう。

①LGBTQ+の子ども達の話を聴くには
 最初のテーマは、LGBTQ+の子ども達の話を聴く際に大切なことについてです。
 LGBTQ+の子ども達の話を聴く際、「自分の考え」ではなく、「相手の声」に耳を傾けること・意識することが大切です。
LGBTQ+の子ども達から相談を受けた場合、 「きっと辛かっただろう」など、自分の今までの経験から相手の気持ちを想像してしまうことが多いのではないでしょうか。それはとても自然な考えではあるものの、「自分の考え」でしかなく、相手は同じ考えではないかもしれません。ポイントは、「自分の考え」から切り離して相手の気持ちを考え、尋ねてみることです。それは、「自分の考え」から発生する行動や思考をコントロールすることが相手を理解する一歩となります。自分にとっての「普通」がどういうことなのかを知ることで、自分の行動や思考をコントロールし、相手の話をよりよく聴く、つまり「相談を聴く」ことができるようになります。
また、「自分には偏見はない」「充分にLGBTQ+について充分に学んでいる」と終わらせてしまうことなく、さまざまな方法を組み合わせながら自らの考え方や情報をアップデートし続けてほしいと思います。

 

② LGBTQ+をテーマとした学習後の課題
次のテーマは、LGBTQ+をテーマとした学習の後に気をつけておきたいことについてです。
 学習後に啓発活動をするにあたり、1つ目のテーマで触れた「自分の考え」に注目すること、そしてさらなる情報のインプットや整理が必要です。特にLGBTQ+のテーマは社会的にも変化の渦中にあるため、扱うデータが最新のデータであるかは注意深く確認することや「自分の考え」によってバイアスがかかっていないかが求められます。
もう1つ、啓発活動をする上で重要なのは「LGBTQ+の子ども達はどんな気持ちで見る/聴くのか」を意識することです。教室内にもLGBTQ+の子ども達はいるという視点を持ち、子ども達の気持ちを考える必要があります。その一方で、教室内で「LGBTQ+探し」が始まらないように注意することも大切です。大人が持っている偏見と子ども達の偏見は量・質ともに異なるものですので、センセーショナルに扱い過ぎないように注意を払って下さい。
 昨今、「探究活動の際に、LGBTQ+をテーマにしたい」という声を中高生からもらうことが増えています。その際にインタビュー等をLGBTQ+の人や専門家にしたい生徒がいる場合は、入念な事前学習が不可欠です。インタビュー時には連絡法を事前指導すること、個室を利用するなど先生方に気をつけていただきたいと思います。