遠藤まめた さん
〜主な著書〜一般社団法人にじーず代表。トランスジェンダー当事者としての自らの体験をきっかけにLGBTの子ども・若者支援に関わる。
著書に「先生と親のためのLGBTガイド 〜もしあなたがカミングアウトされたなら」(合同出版)ほか。
第5回「にじいろ子ども応援団」勉強会&交流会(後編)
前編に引き続き、遠藤まめたさんにご登壇いただいた、第5回「にじいろ子ども応援団」勉強会&交流会の様子を私の感想と合わせてご紹介します。
事例検討
そして、事例検討に入りました。
2つの事例について、少数グループに分かれて、自分の意見や、自分だったらどうするかなどについてグループ内で意見を交わし、その後意見を共有し合う、という流れでした。グループディスカッションは盛り上がり、急遽時間を延長して話し合いを続けるほどでした。
遠藤さんからの性の多様性に関する解説ののち、参加者をいくつかのグループに分けて事例検討を行いました。
まず、事例①は「中学生のAさん、髪を短くするよう指導を受ける。
男子が髪を伸ばすのには特別な理由がなくてはならない。
Aさんが理由を言わず、担任と目を合わせないことから、担任はAさんが反抗的な態度をとっていると考え、親に連絡をした。」というものです。
私が参加したグループでは、「そもそも特別な理由とは何なのか。
髪形などのルールを、生徒が納得できるように説明できるのか」という意見や、「目を合わせないだけで反抗的と決めつけるのはよくない。
理由を話せる関係を築けていなかったのでは」という意見があり、確かにそうだな、と納得しながら聞いていました。
また、教師の中でもこのような事例に疑問を抱く人もいれば、全く問題に感じていない人もいて、その難しさについてのお話もあり、教師の意識がどうであるかということの重要性を感じました。
他のグループでも、さまざまな気づきや共有があったようです。
そして事例②は「高校生のBさん、Xジェンダーであることをクラス全員に作文でカミングアウトしたい。
友達はおらず、本人としては毎日がつらいので生活を変えたいと考えている。
Bさんの『全員に伝えたい』という希望について、担任はBさんの発達障害による白黒思考によるものだと捉え『いま決めなくてもいいんじゃない』と応じている」というものです。
私が参加したグループでは、実際にこのような場面がある、という話がありました。
Xジェンダーであることと友達がいないことの関係性についてもう少しお互い考えてみる必要があることや、Bさんが感じている辛さを聞いてみる、などの意見がありました。
私はBさんへの対応ばかりを考えていましたが、担任もアウティングにならないように気をつけながら、他の人に相談できたらいい、この担任の教師へのフォローが必要だ、という指摘があり、大変勉強になりました。
また、Bさんや担任だけでなく、他のクラスメイトにも、性の多様性についての理解を深められるような実践を行っておくといいのでは、というお話もありました。
こちらも、他のグループでも大いにディスカッションが盛り上がったようです。
その後の全体共有では、遠藤さんが参加者の意見をふまえてコメントしてくださいました。
今回、性の多様性についての勉強会ではありましたが、セクシュアリティ以外の視点を持つことの大切さや、大人どうしでも研修などで多様性についての視点を持つことが必要、などのお話がありました。
遠藤さんも講演中におっしゃっていましたが、このような場面は今後であう可能性も大きいと思います。今回考えたことを参考にして、ぜひ実際の場面でも活かせていけたら、と思う勉強会でした。