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先生集合!学校でできるアライアクションって?(後編)

(2022.05.31)
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2022年5月7日、オンラインイベント「先生集合!学校でできるアライアクションって?」を開催しました。ReBitでははじめての挑戦となる、現役教職員限定のイベントです。当日は約20人の皆様にご参加いただきました。この記事では、イベント内で実施したReBitメンバーによるトークセッションをダイジェストでお送りします。

ーーーここで、先生たちの声を見てみましょう。一番よくあるのが、「多様な性についての取り組みを何かしたいけれど、何から手をつけるのがいいだろうか」というものですよね。

まず、何かしようとしてくださっていること自体が大きな一歩です。ReBitにお声かけくださるのもうれしいですし、Ally Teacher’s Tool Kitを活用していただくのもいいですね。授業以外の取り組みとしては、多様な性に関する本を展示するコーナーを図書室や保健室につくる、他の先生と一緒に学校の中の課題を洗い出す、などがあります。また、授業の後も、他の学年や他の教科で別の角度から繰り返し多様な性について取り上げるとより効果的です。

ーーーそうした熱意ある先生たちが直面する課題の一つに、管理職や保護者の理解が得られず、授業がなかなか実現しないというものもあります。

ここではそういった壁の乗り越え方を二つ紹介します。
まず一つは、データにもとづいて授業の必要性を説明する、という方法です。文部科学省の通知をはじめ、多様な性について学校として対応することの重要性がうたわれている資料は、多様な性というテーマが学校にとって取り組まなければいけないことなんだという裏づけになります。ReBitの調査では、多様な性の授業によってどんな効果が得られるのかということをまとめています。ぜひご活用ください。(小学校高学年を対象にした調査はこちら)(中学生・高校生を対象にした調査はこちら
もう一つは、授業という形にこだわらない、という方法です。たとえば保健の授業で「思春期になると誰もが異性に関心をもちます」という一文を教えるときに、「恋愛対象が同性という人もいるし、恋愛をしない人もいるんだよ」と一言そえるだけでも、自分の存在を肯定されたと感じる子どもがいるはずです。家庭科の授業で人生設計をするときに、結婚をするかしないか、子どもをもつかもたないか、またその方法は様々であることを伝えるのも、多様な人がいて多様な家族の形があるというメッセージになります。他にも、英語で公民権運動をテーマにした文章を取り扱うときに、「黒人」「女性」のようにLGBTQの運動の歴史も紹介する、公民で憲法について学習するときに、「基本的人権」「法の下の平等」に関連して婚姻の平等をめぐる国内外の動向にふれる、など様々なアプローチがあります。

ーーー普段から多様な性があることを前提とした言動をするのはとても大事ですね。そのような姿勢でいることで、あるいは授業をすることで、カミングアウトをうけるといったこともあるかもしれません。そうした相談にはどう対応するのがいいでしょうか?

カミングアウトする側はもちろん、カミングアウトをうける側も緊張しますよね。特に先生という立場だと、「100点の対応をしなくてはいけないのではないか」「自分の対応で相手を傷つけてしまったらどうしよう」という心配の声もよく耳にします。しかし人と人との関係に100点はありません。そのときできる最善をつくすのが大切です。もし、その場では対応しきれないこと、誰かに相談が必要なことなどがあれば、正直に「◯◯について今すぐにはわからないから、明日までに確認するのでもいい?」「自分も勉強不足なところがあるから、もし嫌なことがあったらいってね」などと声をかけると、安心や信頼につながるのではないでしょうか。
カミングアウトをうけた後の行動の中で注意していただきたいのは、アウティングをしないということです。アウティングとは、本人の同意なしに第三者にその人のセクシュアリティを暴露してしまうことをいいます。学年団の先生、管理職、保護者などに共有が必要な場合も勝手にいってしまうのではなく、事前に本人に確認をとることが重要です。カミングアウトをうけた側がそのことを誰かに相談したい場合は、匿名で利用できる相談窓口や、守秘義務のある相談機関を利用するのが安全です。

ーーー個別の事例に対応していくだけでなく、学校の文化自体を見なおすにはどうしたらいいでしょうか?

すでに様々な対応をしている学校が実は結構あるんですよね。そうした事例を参考にして、自分たちの学校でもこんなことができるのではないかと提案していくことが可能です。そもそも先生同士で「こういうことが課題だよね」「こうしたらもっとよくなるのでは?」といった話ができる風土かも重要ですね。その土壌があれば、みんなで協力してよりよい学校をつくることができるとおもいます。

ライター:認定NPO法人ReBit