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第4回「にじいろ子ども応援団」勉強会&交流会(前編)

辺 大輔さん 埼玉大学基盤教育研究センター准教授。教育学(博士) 一般社団法人“人間と性”教育研究協議会幹事

(2021.12.28)
 

渡辺 大輔さん
埼玉大学基盤教育研究センター准教授。教育学(博士)
一般社団法人“人間と性”教育研究協議会幹事

〜主な著書〜
・『マンガワークシートで学ぶ多様な性と生』(子どもの未来社、2019年)
・『性の多様性ってなんだろう?(中学生の質問箱)』(平凡社、2018年)
・『いろいろな性、いろいろな生きかた』(全三巻、監修、ポプラ社、2016年)
・『国際セクシュアリティ教育ガイダンス【改訂版】』(共訳、明石書店、2020年)など。

 

第4回「にじいろ子ども応援団」勉強会&交流会(後編)

 

2021年11月6日に第4回「にじいろ子ども応援団」勉強会&交流会を開催しました。
今回は、渡辺大輔さんにご登壇いただきました。

 渡辺さんは埼玉大学基盤教育研究センター准教授で、「“人間と性”教育研究協議会」幹事もなさっています。ご著書も多いので、ぜひ皆さんも渡辺さんのお名前でご検索ください!

 今回は、「アライ先生のための『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』入門」というテーマでお話しいただきました。

アライというのは、セクシュアルマイノリティの当事者ではないけれども、性の多様性に関する社会問題を、自分も問題の当事者としてともに声をあげていく、という人のことを指します。私自身はバイセクシュアルという、セクシュアルマイノリティの当事者ですが、ゲイの方のアライですし、また知的障がい者のアライであったりもします。

 渡辺さんは、UNESCOが出した「改訂版 国際セクシュアリティ教育ガイダンス」の日本語訳にかかわっていらっしゃり、その内容についてお話しいただきました。ちなみにこちら、書籍としても購入できますし、PDF版の無料ダウンロードもできるので、渡辺先生のお名前と合わせて、こちらもぜひ検索してみてください。

「セクシュアリティ」という言葉について
 まずは、「セクシュアリティ」という言葉についての話から。セクシュアリティとは、性自認や性的指向、性表現などを表すことばですが、自分の身体(例えば髪形など)は自分でコントロールするもので、誰かにコントロールされるものではありません。
 セクシュアリティという言葉はとても多面的です。
また、セクシュアリティは恥ずかしいこと、疑問すら持ってはいけないこととされがちですが、生きている間ずっと付き合っていくものとしてポジティブに語り合うものです。
そして、自分の身体に他者がどう触れるかを決める権利は誰かが決めるのではなく、自分が持っています。
そしてここまでの話は、実は小学校中学年ごろまでの学習課題なのです。自分が子どものころ、こんなことについてしっかり考えていただろうか…。


「包括的セクシュアリティ教育」について
 次に、「包括的セクシュアリティ教育」についてお話しいただきました。これはセクシュアリティを身体や感情だけでなく社会的面でも、そして1回きりでなく長いスパンで学ぶ教育・学習です。
そして、子どもたちを励まし・後押しする知識や価値観を身につけさせることを目的としています。
現在の東京都教育委員会による『性教育の手引』では、性教育が道徳の授業で扱われることが多いそうで、それはつまり「権利」というより「規律・規範」として捉えられている現状がわかります。
「包括的セクシュアリティ教育」は、価値観も含め、一緒に考えていこうという姿勢です。そして、性に関して暗く考えるのではなく、性に関する「幸福」を促進するための手段である、とのことでした。
 「包括的セクシュアリティ教育」の特徴は、科学的に正確であることや、年齢や発達に合わせての長期間的な学び、自分自身の「権利」がベースであること、などがあります。
加えて、先ほどもお話ししたように暗く考えずポジティブであることや、学習者中心的=子どもたちが相互作用によって自ら振り返り、学んでいくことが求められます。
また、学校の子どもたちだけではなく、ReBitのようなNPOやコミュニティでの、大人の学びも重要です。