子どもから性のあり方について相談を受けた際、どのように受け止め、次の一歩につなげればよいのでしょうか。研修の内容を一部ご紹介します。
三砂小の人権教育担当の谷本先生(左)と浅野校長先生(右)
相談対応への不安の背景とは?
相談対応に関する職員研修を行う背景には、どのような課題感があったのでしょうか。人権教育担当の谷本先生にお話を伺いました。
谷本先生のいう「アウティングを回避して対応することの難しさ」については、他の先生からも不安の声があがりました。今回の研修では、下記の「性別違和を感じている生徒から、修学旅行の入浴について相談を受ける」というケーススタディについて、「相談中にどのような声掛けをするか」「相談後にどのような行動をとるか」をグループで検討しました。
グループワークで相談対応のあり方を検討する中で、ある先生からはこんな疑問の声が挙がりました。
修学旅行における個別対応の中でも、アレルギー対応の食事準備やバリアフリーの導線確保などは、学年の先生・養護教諭・管理職などでの情報共有がスムーズであり、「組織としての対応」を計画しやすい傾向にあります。一方で、性のあり方に関する相談はプライバシーに関わる内容が多く、アウティングにならないよう情報共有の前に本人の合意を得ながら、学校組織として困り感の解消を図っていく丁寧なやり取りが必要です。
その過程を思い浮かべながら、ある先生からは次のような不安の声も挙がりました。
上記から、相談対応に対する先生方の不安の背景には、「個人に寄り添いつつ、組織的な対応を行うにはどのような見通しや声掛けで相談対応を行えばよいか」といった課題意識があるように感じました。
こうした不安の声は、三砂小に限ったものではありません。ReBitの調査によると、相談経験のある先生(26.9%)のうち、75%以上の先生が「対応・支援したが、適切だったかどうか自信がない」と回答しています。

2026年6月に閣議決定されたSOGI理解増進法の基本計画では、学校における相談機会の確保が求められています。その実現のためには、相談を受けた教職員が過度な不安を抱かずに対応に臨めるよう、三砂小のように、研修の機会を事前に重ねていく必要があります。
相談対応のポイントは?
実際に性のあり方について相談を受けるときは、個別具体的な子どもの実態に応じて、一人一人に合った対応が必要です。相談時の言葉掛けも、相手の子どもやその子との関係性によるため、「こうすればよい」という画一的なマニュアルはありません。では、本人の気持ちを尊重しつつ、アウティングを回避して学年・学校としてより良い対応を検討する上では、どのような視点が必要でしょうか。ReBitからお伝えした「5つのポイント」を紹介します。
研修終了後、先生方からは以下のような感想の声をいただきました。
ワークシートいっぱいに記された感想からは、「相談する子どもと一緒に考える」「子どもを一人にしない」という先生方の強い思いがあふれてきました。「よりよい学校生活を一緒に考えてくれる大人がいる」という感覚は、当事者性の高い子どもたちにとってきっと大きな支えになるはずです。
研修担当者より
三砂小では、児童への声かけなどの環境整備を年度当初から進めてくださっています(詳細はこちら)。多様な性のあり方を包摂した環境整備が進むと、子どもからの相談が増えるかもしれません。今回の研修で「どういった対応が求められているのか理解できた」といった感想を多くいただき、子どもたちの相談に答えるアライ先生の自信につながったことが伝わり、私もうれしく思います。谷本先生は今後の目標として、相談対応の場面で「誰でも実践できるフローチャート」を検討していきたいと語ってくれました。先生方の実践と学びの積み重ねが、すでに三砂小の素晴らしい学校文化として定着しつつあることを実感しています。三砂小の先生方、ありがとうございました!
より理解を深めたい方へ
三砂小のような相談対応に係る研修をご希望の方は、ReBitの問合せフォームよりお気軽にご連絡ください。▼ReBit問合せフォーム
https://rebitlgbt.org/contact/
また、研修で取り上げた相談ケースや対応のポイントは、『Ally Teacher’s Tool Kit:安心な学校をつくろう編』(以下ATTKと表記)の『LGBTQ/SOGIE相談対応ハンドブック』に、詳しい解説やその後の展開例が記載されています。ATTKは、学校関係者の方であれば無償でご利用いただけます。こちらの活用も合わせてご検討ください。
▼『Ally Teacher’s Tool Kit:安心な学校をつくろう編』のお申込み
https://rebitlgbt.org/teacher/

