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アライ先生インタビュー(4) 学校と連携して実施する、東京都人権啓発センターの「人権問題体験学習会」(後編)

田村鮎美さん 公益財団法人東京都人権啓発センター専門員

(2021.08.17)
 

田村鮎美さん
公益財団法人東京都人権啓発センター専門員

東京都出身。大学卒業後、渡仏しファッション史等を学ぶ。帰国後、ファッションフォト専門カメラマンエージェントでマネジメントに従事。2009年より(公財)東京都人権啓発センター専門員。学校向け事業や子ども向けイベント企画など、若年向け啓発事業に携わる。

 

最初から人権畑にいたわけではなかった

 

東京都人権啓発センターで働くようになって今年で14年目になるという田村さんに、職員になった経緯を聞いてみました。

「私たちは、公益財団法人の職員で、いわゆる公務員試験に合格した東京都の職員とは異なります。私はもともと、東京都の教育庁(東京都教育委員会の事務局)でアルバイトをしていました。そのときに、東京都人権プラザという施設に展示室があることを教えてもらいました。私は美術が専門なのですが、そこの展示室のデザインや展示企画をやってみないか、と声をかけてもらったんです。それで、財団の面接を受けて採用されたというのが経緯です。それなので、“人権啓発”に取り組むというよりは、当初は展示や印刷物のデザインの担当ということで雇われたわけです。人権問題については、ここに入ってから一つずつ勉強していきました」

 

人権課題を自分事に 無関心ではいないようにしたい

 

人権啓発センターの職員として、人権や多様性をテーマにした授業に同行される中で、何か変わってきたこと、気づきや発見などはありましたか?

「世の中で起こっていることをもっと意識的に自分で捉えていこうという気持ちになったと思います。というのも、この仕事をしていると、圧倒的に当事者の方とお話しする機会が多いんです。これまでの人生で出会うことのなかった当事者の方たちの体験を聞くことで、確実に視野が広がって、自分には見えていなかったことがたくさんあることに気づきました。それぞれの人権課題をどれだけ自分事にできているかを問われると心許ないところもあるのですが、少なくとも、無関心ではいないようにしようと普段から意識はしています。それは、この仕事に就いたからこそ得られた姿勢だと思っています。私も社会を構成する一人であって、一見、自分には関係がなさそうな出来事や話題であっても、いつかはどこかでつながるときがあるような気がするんです。そのことを、子どもたちや先生方に、これからも少しでも伝えていけるといいのかなと思っています」

 

先生に知ってもらい、使ってもらいたい

 

最後に、アライになりたいと思っている先生たち、学校で多様な性に取り組んでいきたいと考えている先生たちに、メッセージをお願いします。

「ぜひとも人権プラザ、人権啓発センターをどんどんご利用ください。体験学習会のプログラムを通して、それぞれの学校にReBitの授業をお届けするのはもちろんなのですが、それ以外にも、人権プラザには図書資料室もありますし、展示室もあります。展示室にはわずかなスペースですがLGBTの展示コーナーもあります。いずれにしても、いろいろな情報を提供できると思いますので、ぜひとも人権プラザ、人権啓発センターをご利用いただいて、また、私たちに気軽にご相談してください。最近はオンラインでの対応もできます。学校が対象であれば最大限のご協力ができると思いますので、どしどしご活用ください」